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症例1(老人性白内障1) |
年齢
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71歳 女性 H.S. |
初診
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H10年7月31日 |
主訴
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両眼視力低下(特に右眼) |
プロフィール
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ピーナツ栽培 |
現病歴
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H4年ごろより視力低下および流涙を自覚、前医にて点眼治療
流涙は改善したが視力低下すすんでいる |
既往歴
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特記すべきことなし |
一般眼科所見
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視力
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Rv=0.3(0.4 x S +0.25D C +2.00D Ax
175°)
Lv=0.5(0.6 x S +0.25D C +2.00D Ax 175°) |
眼球運動
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異常なし |
瞳孔
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瞳孔径左右差なし,輻輳、対光反射正常 |
外眼部
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異常なし |
前眼部
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角膜 透明
前房 前房深く炎症所見なし |
中間透光体
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水晶体 皮質混濁を認め、核硬度grade 2 |
前眼部写真
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眼圧
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右12mmHg、左11mmHg |
眼底
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異常なし |
経 過
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右白内障手術強く希望し、H11年1月20日
右眼超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術施行
右視力改善しH11年1月28日には1.0
H11年2月12日には1.2〜1.5となる。
視力の左右差気になるため左眼白内障手術を希望
H12年1月19日
左眼超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術施行
H13年4月14日
視力
Rv=1.0(1.2 x S +0.75D C -0.50D Ax 100°)
Lv=1.0(1.2 x S +0.75D C -1.00D Ax 100°)
他著変なし
普段は裸眼で生活。読書時は従来の近用眼鏡使用。 |
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症例2(老人性白内障2) |
年齢
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75歳 女性 K.Y. |
初診
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H12年5月24日 |
主訴
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まぶしい、うっとうしい、ものがぶれて見える |
現病歴
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H10年ごろよりかすみ、単眼複視、充血を感じていた。前医にて点眼治療。充血は改善したが視力低下すすんでいる |
既往歴
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特記すべきことなし |
一般眼科所見
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視力
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Rv=0.7(0.9 x S +0.50D)
Lv=0.7(1.0 x S +0.75D C -2.50D Ax 90°) |
眼球運動
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異常なし |
瞳孔
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瞳孔径左右差なし,輻輳、対光反射正常 |
外眼部
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異常なし |
前眼部
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角膜 透明
前房 やや浅いが炎症所見なし |
中間透光体
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水晶体 皮質混濁、核硬度grade 1.5 |
前眼部写真
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眼圧
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右11mmHg、左11mmHg |
眼底
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異常なし |
経 過
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矯正視力良好であるが、右白内障手術強く希望したためコントラスト視力測定(日本点眼社製、近見視標)。
コントラスト 90% 60% 6%
右眼 10(0.8) 5(0.25) 3(0.16)
左眼 11(1.0) 10(0.8) 5(0.5)
数字は視標番号、( )内は換算小数視力
測定結果は白内障のない40歳の場合のコントラスト視力
コントラスト 90% 60% 6%
13(1.6) 12(1.25) 9(0.63)
に比較し低コントラストでの視力低下が大きく
H12年9月13日
右眼超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術施行
H12年9月20日には矯正視力1.2〜1.5となり、
コントラスト視力も
コントラスト 90% 60% 6%
右眼 11(1.0) 8(0.5) 7(0.4)
に改善(下図)
H13年4月11日左眼も白内障手術希望により、左眼超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術施行
H13年4月13日には左矯正視力1.5〜2.0となり現在外来にて術後経過フォロー中
視力
Rv=0.5(1.2 x S -0.75D C -1.25D Ax 130°)
Lv=1.5(1.5 x S +0.50D C -0.75D Ax 85°)
他著変なし
普段の生活は裸眼で困っていないので眼鏡処方はしていない。 |
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症例3(老人性白内障3) |
年齢
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80歳 男性 F.T. |
初診
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H11年6月22日 |
主訴
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右眼視力低下 |
プロフィール
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特記事項無し |
現病歴
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H10年ごろより視力低下および流涙を自覚、前医にて点眼治療
流涙は改善したが視力低下すすんでいる |
既往歴
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高血圧 内服治療中 |
一般眼科所見
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視力
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Rv=眼前指数20cm
Lv=0.15(0.2 x S +1.25D C +3.00D Ax 175°) |
眼球運動
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異常なし |
瞳孔
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瞳孔径左右差なし,輻輳、対光反射正常 |
外眼部
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異常なし |
前眼部
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角膜 透明
前房 前房深く炎症所見なし |
中間透光体
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水晶体 右 成熟白内障、
核硬度grade 5〜(混濁の中心が濃茶)
左 皮質核白内障
核硬度grade 3 |
前眼部写真
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眼圧
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右15mmHg、左18mmHg |
眼底
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右眼;透見不可 |
経 過
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右白内障手術強く希望。
眼底透見出来ないため 網膜電図(ERG)検査施行
ERG図
反応良好のため右眼視機能良好の可能性大きいと判断し、
H11年10月13日
右眼嚢外摘出術および眼内レンズ挿入術施行
右視力改善しH11年10月17日には1.0
Rv=0.7(1.0 x S -0.75D C -0.75D Ax 45°)
その後左眼の視力低下も気になり左眼白内障手術を希望
H12年9月13日
左眼超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術施行
H12年11月18日の時点で遠用眼鏡作成 (近くは裸眼で見える)
処方 PD=65mm
Rv=0.07(1.0 x S +0.75D C -4.50D Ax 90°)
Lv=0.2(1.0 x S -2.25D C -1.00D Ax 70°)
他著変なし
ERG検査について
眼に光が入ると、網膜にある光受容器細胞がその刺激を受け、
次々に網膜内の細胞で電気的信号に変換して脳内へ伝達します。
ERG(electroretinogram)はこの現象を利用して、コンタクトレンズ電極を装着し、光の刺激を与えて得られる網膜の微少な電気反応をを記録するものです。
白内障の術前検査では、どのような波形であれ反応が得られれば手術の適応になります。
全く反応の得られない疾患として、網膜全剥離、網膜色素変性症、後天性網脈絡変成などがあります。 |
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症例4(白内障強度近視) |
年齢
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60歳 男性 T.J. |
初診
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H12年7月8日 |
主訴
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視力不良、眼鏡で視力が上がりにくい。
眼鏡なしで生活したい |
現病歴
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学生時代より強度近視。H8年ごろより視力低下、
前医にて点眼治療していた。. |
既往歴
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一般眼科所見
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視力
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Rv=0.02(0.8 x S -12.50D C -2.50D Ax
90°)
Lv=0.04(0.9 x S - 9.00D) |
眼球運動
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異常なし |
瞳孔
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瞳孔径左右差なし,輻輳、対光反射正常 |
外眼部
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異常なし |
前眼部
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角膜 透明
前房 深く炎症所見なし |
中間透光体
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水晶体 後嚢下混濁を認め、核硬度grade 1.5 |
眼圧
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右16mmHg、左16mmHg |
眼底
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両眼、豹紋状眼底、右軽度近視性黄斑症、
近視性の網脈絡膜変成なし。 |
眼軸長
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右29.69mm、左27.47mmHg |
経 過
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矯正視力は比較的良好であるが、本人は視力の低下(中央部後嚢下の混濁によるものとおもわれる)を強く訴えており、黄斑症による視力不良の可能性も説明するが、屈折矯正を含めた白内障手術強く希望。
H12年9月27日
右眼、超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術施行
(目標屈折異常度0Dに設定し、3DのIOL挿入)
術後1週目の右視力は
Rv=1.0(1.2 x S -0.25D )であったため、患者さんと相談し、
左眼は目標屈折異常度-2Dに設定し、10DのIOL挿入
術後1週目の左視力は
Lv=0.3(1.2x S -2.00D C -1.25 Ax 30°)
現在まで右眼視力も良好に保たれ、運転時は眼鏡装用(H12年10月27日 処方)するものの、日常生活では裸眼で過ごしている。 |
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以上示したのはいろいろなタイプの老人性白内障です。
症例1がいわゆる老人性白内障、
症例2が老人性白内障の初発型、
症例3が老人性白内障の成熟型、
症例4が屈折矯正手術の要素を含む白内障
で、 それぞれ留意するポイントや検査項目が少しずつ異なっています。
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