結膜の病気

アレルギー性結膜炎の一種で、春から夏にかけて症状が悪化し、冬にはおさまり、また春になると症状が悪化するということを例年くり返します。10~20歳の男子に多く、20歳前後で自然に治ることが多い病気です。両眼性でかゆみがあり、上まぶた(上眼瞼)の裏に石垣状のブツブツ(巨大乳頭)がみられる眼瞼型と、黒目と白目の境目(角膜輪部)の周りに、にかわのような赤褐色や灰褐色のよごれた隆起物がでてきて、白目(球結膜)が充血する眼球型の2つがあります。
治療は、アレルギー性結膜炎と同じですが、症状が強く角膜潰瘍で視力障害を起こすこともあるので、副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤の点眼を用います。これらの点眼剤は有効ですが、副作用がいろいろあります。眼科専門医で管理することが大切です。

(浦安新聞 平成22年3月12日号 医療Q&A掲載文より)

花粉症

花粉症

春先から花粉症による目のかゆみや痛みで困っている人が増えてきます。花粉症はアレルギー性疾患で完全に治すことは難しく、症状により日常生活に支障を来すこともあります。しかし、花粉を避け、薬剤を上手に用いて治療すれば、症状をコントロールできるものです。今年も関東地区は大量の花粉飛散が予想されています。今回から数回、花粉によるアレルギー性結膜炎の原因や予防、治療について解説しますので花粉症対策に役立ててください。

ヒトは異物(たとえば細菌やウイルスや、ガンの原因になるような異常な細胞など;アレルゲンという)が発生したときに体の中に抗体を作り、異物や異常細胞を排除する機能(免疫という)をもっています。免疫は本来、生体にとってよい働きをするものなのですが、ときに病気を起こしヒトを苦しめます。これがアレルギーです。

花粉(アレルゲン)が結膜につくと、作り出された抗体と反応し免疫細胞を刺激してヒスタミンなどの化学伝達物質を吐き出させます。ヒスタミンは、結膜表面に存在する神経ニ作用してかゆみを引き起こします。さらに血管に作用して血管壁をゆるめ、血液中の水分や白血球を血管の外へ滲み出させてしまいます。滲み出した白血球によってまぶたのはれ、結膜の浮腫が生じます。

かゆくて擦ったり、かいたりするとさらに悪化し、結膜や角膜を傷つけ、目がゴロゴロしたり、かすんだり、まぶしく感じたり、痛みが出たりします。このほか鼻、のど、気管支、胃腸にもさまざまな症状が現われ、全身の倦怠感や発熱が出る場合もあります。

花粉症の予防と治療で一番大切なことは、花粉と接触しないようにすることです。症状が出る前に行うと効果のある治療もありますので、花粉が飛散する前に来院し、早めに治療を開始するようにしましよう。

今年は過去10年の平均飛散量の2倍で、昨年の6倍程度の飛散量が予想されています。関東では2月中旬から始まると予想されています。現在、花粉症の無い方も今年から発症する可能性があります。既に花粉症のある方は、症状緩和の為に抗アレルギー薬の点眼や内服を開始してください。症状が激しくなれば、抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイド剤の点眼や内服などを追加します。ステロイド剤は強力に症状を改善しますが、副作用も強く長期間使っていると眼圧上昇などの副作用が現われることがあります。眼科医の指示に従って使用することが大切です。根気よく治療を続けると、次第にアレルゲンに反応しにくくなり、症状が軽くなっていきます。対応が遅れると強い症状が長引きます。早期の治療を心掛けましょう。

(浦安新聞 平成23年1月7日号 医療Q&A掲載文より)

  • 外出時は眼鏡やマスクをつけ、帽子もかぶりましょう。
    できればよく晴れて風の強い日、乾燥した日の外出は控えましょう。
  • 帰宅時には玄関前で花粉をはたき落としてください。
    洗眼、うがいも習慣にしましょう!
  • 洗濯物やフトンは乾燥機を利用してください。
    やむをえず室外に干す場合は取りこむ際に十分花粉をはたき落として。
  • 換気は花粉の飛散の少ない早朝や夜半にしましょう。
    室内に浮遊している花粉はエアクリーナーで除去を。
  • 花粉の飛散時期には普段よりこまめに掃除をしましょう。
    掃除機は、窓を開け、噴出口を室外に向け、ホコリが室内に舞わないようにして使用してください。
    こじれると治療が長引きます。症状の軽いうちに医師の診察を受けましょう。

(浦安新聞 平成23年2月11日号 医療Q&A掲載文より)

花粉が飛散する時期に入る2週間くらい前から抗アレルギー薬を点眼して症状を軽減します。症状が顕著になれば、対症療法を強化します。用いる薬剤は抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイド剤です。ステロイド剤はよく効きますが、副作用も強いので医師の指示に従って使用してください。根気よく治療を続けると、次第にアレルゲンに反応しにくくなり、症状が軽くなっていきます。

ところで花粉症の予防と治療で一番大切なことは、花粉と接触しないようにすることです。

  • 外出時眼鏡、マスクを、帽子の着用。
  • 帰宅時に玄関前で花粉をはたき落とす。
  • 洗眼、うがいの励行
  • 洗濯物やフトンは乾燥機を利用する。
  • 換気は早朝や夜半に行い、室内に浮遊している花粉はエアクリーナーで除去を。
  • 普段よりこまめに掃除をする。掃除機は、窓を開け、噴出口を室外に向けること。

など花粉を身の回りから取り除くようにしてください。

角膜の病気

ヒトに感染する8種類のへルペスウイルスの内、主として単純ヘルペスウイルス1型が、角膜に病気をおこすものを角膜ヘルペスと言います。ほとんどの人は子供の頃にへルペスウイルスに感染しているのですが、感染後、眼に近い神経節に住み着き、たいていの人がその状態のまま一生を終えます。ところがストレス・つかれ・発熱などがきっかけとなって、角膜ヘルペスが発症するのです。最初は樹枝状角膜炎とよばれ、角膜の表層に木の枝のような潰瘍をつくります。ゴロゴロしてまぶしく、涙も出て視力が低下してきます。この時期までに完全に治しておくことが大切です。再発しやすく、再発をくり返すと高度の視力障害を残し、失明することもあります。徹底した初期治療に加えてウイルスに負けない強い抵抗力をつけることが大切です。

(浦安新聞 平成23年5月13日号 医療Q&A掲載文より)

涙の病気

眼球表面を覆っている涙は、目の上部外側にある涙腺から出る涙液に、上下のまぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌される油分などが加わり、眼球に近い方から、粘液、水分、油分の三層構造となっています。通常のドライアイは、涙腺から出る涙液が少なくなって起こるタイプと、マイボーム腺が詰まって油分が少なくなって起こるタイプの二つがあります。前者では、涙の分泌口である涙点を、涙点プラグ(シリコン製の小さな栓)で栓をして、涙をためて乾燥を防ぐ方法、後者では、蒸しタオルなどでまぶたを温め、マッサージして詰まっている脂分を溶かす方法があります。角膜の抵抗力を高める点眼薬も開発中です。眼科で再度相談されることをお勧めします。

(浦安新聞 平成21年9月11日号 医療Q&A掲載分より 改訂)

白内障について

白内障の原因はまだ不明な点も多く、一度濁った水晶体を再び透明にする薬剤は開発されていません。一旦、十分濁ったために視力が落ちてしまった白内障は、視力回復のためには手術することになります。

しかし濁りの予防、進行を遅らせる目的で点眼薬や、内服薬が用いられています。

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水晶体は、加齢とともに紫外線などの外界の誘発因子により不溶性蛋白が増加し硬くなり、また蛋白質中のアミノ酸の一部が光で分解されキヌレインなどが増加し着色するとともに、大きな蛋白分子が増加し散乱光が増え濁ってくるのです。そして、水晶体中のタンパクにはカルシウムイオンで凝集、会合するもの(α-クリスタリン)と、SH基の酸化によって凝集するもの(β、γ-クリスタリン)がありますが、水晶体細胞の透明性維持に必要な代謝に関係するビタミンCや還元型グルタチオンも減少し、ミネラルでは、カリウムが減少しナトリウム、カルシウムが増加してきます。
この代謝の改善を目的とし薬剤が使用されているのです。

<参考>:おもな白内障治療薬と作用メカニズム

点眼
ピレノキシン 水溶性タンパク質と結合し水晶体混濁化を促すタンパク変性物質の働きを抑制
グルタチオン 還元型グルタチオンはSH基酸化による不溶性タンパク形成抑制
内服
チオプロニン 水溶性タンパク質と結合し水晶体混濁化を促すタンパク変性物質の働きを抑制
グルタチオン カルシウムイオンによるタンパ凝集阻止、SH基酸化阻止、S-S結合の還元によるタンパク凝集阻止
パロチン  
漢方 八味地黄丸:動物実験で還元型グルタチオンの減少抑制、アルドース還元酵素活性抑制
五車腎気丸:動物実験で還元型グルタチオンの減少抑制、脂質過酸化抑制による膜安定化

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患者様の生活の不自由さ、手術に対する恐怖感の強さ、医師への信頼度などにより異なります。検査のうえで矯正視力1.0以上あっても眩しさ、コントラストの低下のために不快感を感じている患者もいれば、視力が0.2~0.3でもあまり不自由を感じていない方もいます。
30年ぐらい前には白内障は手術に伴う危険性がかなり高いものであったために全く見えなくなってから(眼前指数、手動)手術を行う場合が多かったのですが、手術法や手術器具の改善がすすみ、現在では一般的には視力0.7未満になれば手術適応があると思われます。
ただし全身疾患(糖尿病、心疾患、高血圧など)のある場合は疾患がコントロールされていることを確認する必要があります。

他の眼疾患(緑内障、ぶどう膜炎など)でも疾患がコントロールされ落ち着いている時期に施行しますが、過熟白内障で嚢が破れたとき、水晶体(亜)脱臼のあるときなど、医学的理由から可及的速やかな手術が必要になる場合もあります。

白内障手術が安全になったといっても合併症はゼロではありません。
やみくもに早い時期にするのも考えものですが、進行した白内障ほど、また高齢者ほど合併症が多くなるため、手術が恐いからといたずらに時期を先延ばしにするのも問題です。

白内障が進行するにつれ過熟白内障になると大きくなった水晶体のために閉塞隅角緑内障になったり、水晶体皮質が溶けて液化し嚢から流れだすと眼内の水分の流れが阻害され急性緑内障の発作を起こすこともあります。

また水晶体を支えているチン氏帯がはずれ硝子対中に落下すると、急に白内障が解消し見えるようになりますが、溶け出した皮質が眼内で炎症を引き起こし、失明してしまうこともあります。
これらの場合、本人の意志もありますが、医学的理由から速やかな手術が必要と思われます。

麻酔によりほとんど痛みは感じないようです。

<参考>麻酔の種類

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点眼麻酔
(4%キシロカイン)
少々しみるが角膜、結膜表面の痛覚が除去される。持続時間は短い。
手術中に器具が虹彩に触れると鈍い痛みを感じる様です。
テノン下麻酔
(E入り2%キシロカイン)
結膜の下にあるテノン嚢という組織内に麻酔液を注入。
注入時の痛みはほとんどないが持続時間は比較的短い。
球後麻酔
(0.5%マーカイン)
眼球の後側に麻酔薬を注入し眼球を支配する神経を麻痺させる方法。
強く、長く効果が持続します。眼内の痛覚や眼球運動も抑制されるが、眼球後方の血管を損傷して球後出血を起こすなど比較的合併症が多いため、長い手術時間が予想される時にのみ用いることが多い。
瞬目麻酔
(E入り2%キシロカイン)
上の3つは眼球に対する麻酔ですが、瞼を閉じようとする力の強い人は開瞼器で目をあけると眼球が上転しようと動くため眼球が安定しません。
このため瞬きを抑制するため瞼の筋肉や耳の近くで顔面神経を麻酔する場合もあります。

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白内障手術は現在数ある医療現場で行われている手術の中でもっとも安全で効果の期待できるものですがもちろん合併症が皆無という訳ではありません。
それぞれの頻度は各施設、術者によってまちまちですが当院の場合以下のような説明をしています。

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白内障手術、麻酔の合併症について?
どれもごく稀にしか起こらないものです。

1 麻酔による合併症

麻酔薬によるショック:事前にチェックしますが稀に起こることがあります。
麻酔は原則として点眼麻酔、テノン下麻酔でおこないますが、術式により球後麻酔をすることもあります。球後麻酔の場合、麻酔時に眼球周辺に球後出血することがあり、手術が延期になることがあります。また、麻酔時に皮下に出血をおこし、目の周りが青黒くなることがあります。麻酔時に針で眼球を穿刺してしまうことがあります。

2 白内障手術により生じうる合併症

逐性出血 手術中に急激な出血を起こすことがあります。
この場合は創をすみやかに閉じて手術を終了します。
術前緑内障などで高眼圧の場合がハイリスクです。(0.1%以下)
後嚢破損 水晶体の混濁を除去する際に、水晶体の後嚢を破損することがあります。
この場合も眼内レンズの移植は可能で、視力予後も概ね良好ですが、視力の回復が遅れたり、水晶体核落下(0.1%)して手術が2度になる場合もあります。

3 白内障手術後により生じうる合併症

屈折異常度の変化 術前検査で適切な眼内レンズを選んでいますが、度数が予想からずれることがあります。この場合レンズの入れ換えが必要になることもあります。
また、眼内レンズの脱きゅう、偏位がおこることがあります。
眼内炎 消毒には万全を期しますが、ごく稀ですが創口より眼内に細菌感染などを生じることがあります。(0.1%以下)
眼内炎が疑われた場合は、多くの場合緊急に硝子体手術が必要になります。
網膜剥離 稀ですが網膜が剥がれて視力低下をきたすことがあります。
後嚢破損した場合リスクが高くなります。
嚢胞様黄斑浮腫 手術の炎症が長く残ると網膜の中心部である黄斑部に炎症が及び視力回復が遅れることがあります。
糖尿病などの全身疾患がある場合や後嚢破損した場合にリスクが高くなります。
水疱性角膜炎 角膜の内皮細胞が減少して、角膜混濁をおこすことがあります。
非常に稀ですが混濁の程度によっては角膜移植が必要になる場合もあります。
術前の内皮細胞の密度(1mm2あたりの細胞数)が1000未満の場合ハイリスクです。

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  • 手術法には、白内障のある水晶体をまるごと取り出す方法(嚢内摘出術;ICCE(intracapsular cataract extraction))と、水晶体前嚢に窓を開け中の核と皮質を取り出す方法(嚢外摘出術;ECCE(extracapsular cataract extraction))がありますが、チン氏帯の断裂が予想されるなど特殊な場合をのぞき、嚢外摘出術がおこなわれています。さらに嚢外摘出術には核をスライドさせて丸ごと取り出す方法と、超音波チップを用いて核を細かく砕いて吸引する方法(超音波乳化吸引法;PEA(phacoemulsification aspiration))がありますが、現在、ほとんどの症例で超音波乳化吸引法がおこなわれています。
  • 白内障の核と、皮質をきれいに除去した後、眼内レンズ;IOL(intraocular lens)を眼内に挿入しますが、ほとんど水晶体嚢内に固定されます(後房レンズinに固定)。後嚢が破損して嚢内固定が難しい場合、前嚢がしっかり残っていれば前嚢と虹彩の間に固定します(後房レンズoutに固定)が、ICCEを行った場合や、水晶体嚢破損が著しく前嚢の支持も危うい場合には、眼内レンズを毛様孔に逢着(後房レンズ毛様孔逢着)したり、前房レンズを挿入します。
  • 白内障手術と眼内レンズ挿入は同時に行われるのが普通ですが、稀に水晶体嚢の後嚢が破損し、水晶体核の硝子体への落下や、硝子体の前房中への脱出が著しい場合白内障手術と眼内レンズ挿入術が別の日に行われることもあります。
  • 眼内レンズの素材
    眼内レンズ光学部は合成樹脂のPMMA(polymethylmethacrylate)、シリコン、アクリル、HEMAが用いられています。小さい創口からPMMA以外は折り畳んで挿入でき、フォルダブルレンズ(foldable lens)と呼ばれています。

最近は手術技術が進歩し、手術侵襲も小さいため入院しないで日帰りで白内障手術をする施設も増えています。重篤な全身疾患がなく毎日の通院に特に支障のない場合日帰り手術でも良いと思います。
当院では、病院への通院が大変な人、高血圧や糖尿病がある人はもちろん、特に全身疾患のない場合でも術後創口の安静、点眼指導徹底のために入院をすすめています。
【注】手術自体は当日で完了しますが、術前の検査、術後の経過観察のために通院していただく場合があります。

現在、白内障手術は開眼手術としての意義だけでなく屈折矯正手術としての側面も無視できません。
白内障術後の屈折度や視力は患者の手術に対する満足度の大きな要因を占めるようになっているため、以下の点が眼内レンズ度数決定に際して重要になります。

  • 術後の患者の希望度数の確認
    裸眼の状態で遠くが鮮明に見えている方がいいのか、近くの方が鮮明に見える方がいいのか
  • 眼内レンズ度数決定に必要なデータの正確な計測
  • 各施設における眼内レンズ度数予測式の選択と修正

以上をふまえた術後屈折度の決定の基本的な考え方は、術前遠視、正視だった場合は、ほぼ正視に設定し必要に応じて近用眼鏡装用するよう、術前近視だった場合は遠用眼鏡装用に慣れているため、-1?-2Dの近視に設定して眼内レンズの度数計算をするようにしています。
このようにすると眼鏡の使用方法(近用、遠用)が術前とあまりかわらないため違和感がないようです。

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参考症例

例1)術前遠視の場合

Rt: +4.00D  
Lt: +3.50D
術後Blt: +0.25D?-0.25D に設定

例2)術前ほぼ正視の場合

Rt: +0.50D  
Lt: +0.75D
術後Blt: +0.25D?-0.25D に設定

例3)術前近視の場合

Rt: -5.00D  
Lt: -4.50D
術後Blt: -1.50D?-2.00D に設定

例4)術前強度近視の場合1

Rt: -10.00D  
Lt: -11.50D
術後Blt: -2.50D?-3.00Dに設定(近見視力が良好になるように)

例5)術前強度近視の場合2

術後遠用眼鏡装用をできればしたくないと強く訴える患者様の場合、近用眼鏡が必要になることをよく説明して以下の様に遠視、正視に準ずる処方にする場合もあります。

Rt: -10.00D  
Lt: -11.50D
術後一眼を+0.25D?-0.25Dに、他眼を-1.00D?-1.50D設定

例6)術前両眼近視で右眼のみ手術する場合

片眼のみの手術の場合で他眼の手術までの期間がかなり先になるような場合、基本的には上記の考え方で左右差が-2D未満になるようにしています。

Rt: -7.50D  
Lt: -6.50D
術後Rt: -4.50D?-5.00D に設定

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眼内レンズの度数決定には、角膜屈折力と眼軸長のデータが必要になります。
角膜屈折力はケラトメーターで、眼軸長は超音波Aモードで測定します。

眼内レンズ度数決定には眼軸長のデータがより大きな影響を与えるようです。

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眼軸長測定誤差の原因になる要因

  • 測定者の熟練度
  • 患者固視不良
  • 水晶体核硬度に対する超音波速度の未調整
  • 強度近視等眼球形態に異常のある場合等があげられます。

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眼内レンズ度数計算式には、光学的モデル眼から導かれた理論式と、理論式の1次近似で係数を実際の症例で得られた結果から回帰して求めた経験式があります。理論式にはSRKT式や、Hollady式等があり、経験式はSRK式が基本になっていて、その改良版としてSRKII式および、高良式等が知られています。
(これらの式の内、私はSRK II式、高良式、SRK T式を利用しています。)

理論式のFyodorovらの基本式および経験式の基本となるSRK式は以下のようなものです。

A:使用眼内レンズによる定数、
K:角膜平均屈折度(D)、
L:眼軸長(mm)、
ACD:前房深度(mm)、
P:術後正視にするのに必要なIOL度数(D)

とするとき
Fyodorov式 P=1.333/(L-ACD) – 1.333*K/(1.333-K*ACD)

SRK式  P=A-2.5*L-0.9*K

例;A=118.9、K=42、L=25の場合、眼内レンズ度数PはSRK式では
P=118.9-2.5*24-0.9*45=18.6(D)となる。

他の式の詳細は省略しますが眼軸長により前房深度、網膜厚等が考慮された式となっています。
ちなみに上記例の場合、他式で計算したIOL度数は以下のようになります。SRKII式:18.1D、KORA式:19.31D、SRKT式:18.14D

注)実際選択されるIOL度数は0.50Dきざみのため、この場合たとえば18.50Dの度数を選択すれば、術後+0.10Dの遠視となることが予想されます。

以上の各式で予想されるIOL度数は24mm前後の眼軸長ではばらつきは少ないが、22mm未満の短眼軸長眼や、26mm以上の長眼軸長眼の場合違いが大きくなります。

図12-1

グラフ

図12-1にA=118.9、K=42で眼軸長が18mmから32mmの場合、術後正視にするのに必要なIOL度数Pの各式による予想度数を示します。

山王病院(私が以前所属していた病院)で、私が執刀した182眼についてIOL度数の術前予想と1ヶ月後の屈折度の誤差を検討した結果は以下のようになっています。1平均眼軸長は22.9mm(20mm~29.95mm)で、SRKII式で-0.61D、SRKT式で-1.11、Kora式で-1.12DのずれとIOL度数の予想は各式とも近視側に偏移する傾向にあります。

しかし、22mm以下の短眼軸長眼では高良の式の精度が最も高く(誤差は上記の順に、-0.88D、-1.46D、-0.51D)、26mm以上の長眼軸長眼ではSRKT式が正確である(誤差は上記の順に、-0.79D、-0.36D、-1.00D)。
その中間はSRKII式の予想がDataに近い。実際の眼内レンズ度数の決定の際にこれらの点を考慮しているが、術後遠視側にずれることを避けようとするためか、全データでは約-1Dの誤差(希望度数より1D近視よりになる)と術後近視側になるような度数選択となっています。(ただしデータの蓄積とともに検討期間の後半では-0.66Dに改善しました。)

現在調節機能を持ったIOLは開発されていないため、
若い時のように遠く近くも鮮明に見えるようになる訳ではありません。
遠方も近方も鮮明に見るには適切な眼鏡が必要になります。
ただし、日常必要な視力が0.5程度の場合、術後の屈折度が-1D程度になっていればいわゆる偽調節効果(加齢による縮瞳から被写界深度が深くなるなどの理由)で、遠方、近方とも裸眼で不自由なく過ごされている方もいます。
また、左右の度数が-0.50、-2.00Dと適当な不同視になっている(なってしまった)場合も案外、眼鏡無しで不自由を感じない方もいます。
さらにIOL挿入眼に限りませんが、ある程度の乱視がある場合最小錯乱円前後の適当な錯乱円を利用することで日常困らない程度の視力を得る場合もあるようです。

目の奥の病気

加齢黄斑変性は老化に伴う病気です。老化の原因として活性酸素の関与が有力視されています。活性酸素は、殺菌作用持つなど有用である反面、過剰に発生すると、細胞や組織を傷つけます。ヒトには活性酸素を消去する抗酸化酵素が備わっていますが、40歳を過ぎる頃からこの生成機能が低下し、ダメージが蓄積しやすくなります。また、活性酸素は紫外線や青色光、タバコ、過度の飲酒、ストレスなどさまざまな外的要因により過剰に発生します。そこで予防の第一は、ストレスのない規則正しい生活を心がけることです。また黄色系のサングラスなどで強い光(特に青色光)を避けることや禁煙も大切です。栄養面では、ビタミンC、 E、ルテイン、亜鉛をとる補助療法が予防に役立ちます。しかし確実に予防できるという方法はありません。早期発見につとめることが大切です。

(浦安新聞 平成20年5月9日号より)

全身病と目

アトピー性皮膚炎の目の合併症には眼瞼や結膜のかゆみをおこすアレルギー性炎症だけでなく、円錐角膜や白内障、網膜剥離など、重い視力障害につながるものがあります。顔面の皮膚炎の重症なタイプで、よく目をこすったり叩いたりする患者様に多くみられます。白内障や網膜剥離などの成因には、アトピーによるかゆみのために、目の周囲をこする、あるいは叩くことが関係しているという説があります。眼合併症のみられるアトピー性皮膚炎の患者様は10~30歳台に比較的多く、思春期、成人になるまで皮膚炎が長引いたり、その時期に重症になったりするタイプには注意が必要です。円錐角膜はアトピー性皮膚炎の患者様の0.5%程度に発症しますが、一般人口と比較すると10倍以上の高率です。円錐角膜や網膜剥離は早期発見が大切です。アトピー性皮膚炎と診断されたなら、定期的に眼科医に診てもらうのが良いでしょう。

近視・遠視・乱視・老眼の話

視力低下

視力低下というと近視になっているのではと考えがちですが、仮性近視(調節緊張)や遠視、乱視の場合もあるので、調節麻痺剤を用いて詳しく調べる必要があります。調節緊張がある場合は目薬や、視力訓練などで治療します。近視でも両眼の視線の向きに問題がなく視力が0.7以上なら眼鏡は掛けないでもよいでしょう。もちろん学習への支障などを考慮して眼鏡処方が必要になる場合もあります。適切に処方されていれば、眼鏡の装用が近視を進めるという明確な論文はありません。また遠視で視力が低下している場合には眼鏡を装用させないと根気がなく学習に障害がでることもあるので要注意です。

早期に見つける方法

視力低下していても、見えにくいことで日常生活に不自由が出てこない限りなかなか自覚されないものです。日ごろから週1回程度、窒内のカレンダーの数字などでチェックするようにするといいでしょう。視力の確認は片目ずつしてください。
視力低下は近視とは限りません。ものの見え方、見方におかしなところがあればできるだけ早く眼科専門医で検査を受けてください。
次のような症状に注意しましょう。

  • 目を細める、目つきが悪い。
  • 視線がはずれることがある。
  • テレビや物に近づいて見る。
  • 見えにくいような様子をする。
  • よく転ぶ。
  • 本を読んだり,絵を描いたりするのに根気がなく,あきっぼい。
  • 集中力がない。

予防法

近視の成因はまだはっきりと解明されていませんが、生後すぐから近視の子供を除き、多くの場合は先天的な素因(体質的なもの)が後天的要因(環境要因)に刺激されながら進行すると考えられています。環境要因として近くにあるものを見ることが大きく関係しているため、予防のポイントは、勉強やコンピューターゲームなど近業作業時に関することが中心になりますが、食事上の注意、生活全般に関しても留意することがあります。近視は生活習慣病の側面もあり、進行を押さえる特効薬はありません。しかし、だからといってそのまま放置しないで進行防止に対して日頃から本人が理解し努力することが大切です。コンピューターゲームは1日30分以内にする。本と眼の距離を30cmから40cmにし姿勢をよくする。寝ころんで本を読まない等を守るだけでも視力が改善することがあります。当院では調節緊張に対して望遠訓練や調節訓練をおこなっていますが、日常の生活における諸注意点についても指導させていただいています。

近視の成因と食生活

近視の成因はまだはっきりと解明されていませんが、糖分のとり過ぎが近視を進めるという説(アシドーシス説)があります。糖分を摂るとビタミンBやカルシウムが消費されます。ウサギに砂糖を大量に与えることで、近視を誘導した実験が報告されています.糖分を大量摂取することで眼球壁や眼カ壁が脆弱になることが原因のようです。以下に近視を進ませないために好ましい食べ物と大量摂取をさけたい食べ物を列記します.バランスのとれた食生活を心がけることが大切です。

「好ましい食べ物」
熟した果物、新鮮な生野菜、生チーズ、半熟卵、良質タンパク質(納豆・ナッツ等)ヨーグルト

「大量摂取をさけたい食べ物」
チョコレート、炭酸飲料(カルシウムの排出促進)
白糖・白米・小麦粉(クロミウム排出促進)

近視の治療について

小学生になり読書や、コンピューターゲームなど近方作業が多くなるとピント合わせの機能が緊張し、一時的に水晶体の屈折力が増加した状態(仮性近視=調節緊張)になり眼球レンズ系の結像位置が網膜の前方になることで遠方視力が低下します。眼軸長が長くなったことに起因する近視(軸性近視)は現在、眼鏡、コンタクト、レーザー手術など光学的な方法による以外治療方法がありません。しかし、調節緊張と軸性近視が合併していることがよくみられること、また視力低下の原因には近視や調節緊張以外に遠視、乱視の場合もあるので、調節麻痺剤を用いた屈折検査および調節機能の検査も大切です。調節緊張は調節麻痺効果のある目薬や視機能訓練などで治療します。視生活の改善に心がけることも大切です。

(浦安新聞 平成22年6月11日号 医療Q&Aより)

ブルーベリーと近視について

ブルーベリーを食べて目の疲れが改善したり、光刺激に対する反応が改善することは報告されていますが近視が良くなると言う論文はありません。ブルーベリーに含まれる色素であるアントシアニンには毛細血管の保護・強化作用、血液循環を向上させる効果が報告されていますが、このことが目の疲れの改善に関係あるようです。目の一番奥にある網膜には、外からの光を電気信号に変えて脳に送る細胞、視細胞があります。視細胞の中で、電気信号を作り出しているのがロドプシンというタンパク質です。光を受けるとロドプシンは分解して電気を発生し、光の刺激がなくなると再び合成されて次の刺激に備えます。ところが年をとったり、目を酷使すると、ロドプシンの再合成が遅くなります。この時ブルーベリーに含まれる色素であるアントシアニンがロドプシンの再合成を助け光刺激に対する反応が改善すると考えられています。

乱視について

眼に入る光が一点にピントを結ばない眼を乱視と言います。乱視はその原因により正乱視と不正乱視に分けられています。角膜や水晶体にゆがみがあり、遠くも近くもぼやけて見えるのが『正乱視』です。一方、角膜の病気により表面に凹凸があり、ピントが合わせにくいものを『不正乱視』と呼び、ハードコンタクトレンズでなければ矯正することができません。多かれ少なかれ誰でも乱視はあり、弱度では問題ありませんが、強度になると、遠くも近くも見えづらくなり、誤読(田→川や三など)や、行飛ばし、二度読みなどが生じます。またピント合わせに負担がかかり、読み書きの効率が落ちたりすることがあります。強度の乱視は円錐角膜など病的な場合もあります。アトピー体質の場合特に注意が必要です。眼科専門医に相談してみましょう。

(浦安新聞 平成23年4月8日号 医療Q&A掲載文より)

老眼と老眼鏡について

老視は調節力(ピント合わせの力)が減少し、通常の近業作業(視距離30~40cm)困難になる状態です。40歳くらいになると実用的に利用できる調節力が少なくなり老眼鏡の助けが必要になります。その後も調節力は減少し55歳くらいになると調節力はほとんどなくなります。調節力が減少すると、明視距離(ピントが合う距離)が狭くなります。つまり老眼鏡を掛けると近くはよく見えるようになりますが、遠くは見えにくくなります。老眼鏡は、明視したい範囲をよく考えて選ぶ必要があります。明視域を改善し、近くも遠くもある程度見えるよう考案されたものが遠近多焦点レンズです。多焦点レンズにはこのほか、中近レンズや近近レンズなどがあります。多焦点レンズには、独特の歪みや揺れ、コントラストが良くないなどの欠点もありますから、装用テストなどで掛けられるか確認することも大切です。多焦点レンズを選ぶときは、技術力の優れた眼鏡店を選ぶことも大切です。

(浦安新聞 平成20年12月12日号 ,平成21年1月9日号 医療Q&A掲載文より)

コンタクトレンズ

アレルギー性結膜炎と
コンタクトレンズ

アレルギー性結膜炎のある方は分泌物が多いためレンズが汚れやすく、付着した汚れがさらに結膜炎を悪化させるという悪循環を起こすため、レンズ選択やレンズケアに注意が必要です。一般に酸素透過性の高いハードレンズやソフトレンズでは汚れがつきやすい傾向があり避けた方が無難です。スポーツ時に利用する等の理由からソフトレンズを使用する場合、一日使い捨てタイプか2週間で交換するレンズがよいでしょう。レンズケアは、クリーナーによるこすり洗いおよびタンパク除去を適切に行わなければなりません。こすり洗い不要のつけおきタイプのケア用品では汚れ落ちが不十分です。ハードレンズは、付着してしまった汚れを研磨剤入りクリーナーで落とすことができます(一部メーカーを除く)。ソフトレンズの煮沸消毒はレンズが劣化したり、結膜炎を悪化させたりすることがあるため化学消毒がよいでしょう。また涙に近い成分の目薬を点眼し分泌物を洗い流すことも有効です。結膜炎の症状によっては、レンズの一時使用中止をふくめた治療が必要です。定期検査を受け眼科医の指示に従ってください。

コンタクトレンズは何歳から?

コンタクトレンズ(CL)が何歳から使用可能という基準はありません。自分でCLの出し入れができ、きちんとケアができれば何歳でも構いません。小学校低学年でできる子供さんもいれば、高校生になってもできない人もいます。その方の性格や器用さにもよります。赤ちゃんでも、先天白内障手術後など医学上必要な場合はCLを使用することになります。ただし子供の場合、成長にともない近視度数を含め視機能の変化が大きく、また一生を通じてCLを使用する期間が長くなるためCLによる眼の負担が大きくなります。涙液や角膜・結膜の状態を十分検査し、障害の発生を防止することは当然ですが、視機能全般に配慮することが必要です。レンズを装用して遠くが見えにくくなってきても近視が進んだからと安易に度数を上げず、度数upは慎重にすること。さらに度数だけでなく調節(ピント合わせ)機能、両眼視機能(両目の視線位置)などについてもフォローした方がいいでしょう。
レンズ購入は、価格や利便性だけで決めず適切なレンズ選択と処方ができるところを選ぶことが大切です。

目の疲れ

VDT症候群について

ディスプレイ作業を続けている人の60%以上が目の疲れやイライラなどの「テクノストレス」に悩んでいるといわれています。VDTを使った仕事は、視線が常に画面とキーボードと書類の3カ所を移動するので、ピント切り替えや照度の変化が激しく疲れやすくなります。さらに、画面を集中して見るため、まばたきの回数が普段の約1/4に減り、目が乾きやすくなります。また、長時間同じ姿勢をとることは、首、肩、腕などの痛みの原因となっています。

VDTを使う作業によって起こるこうした目や身体に影響のでる状態は、VDT症候群(別名テクノストレス眼症)と呼ばれています。症状により、ドライアイ用の点眼薬や、身体や目の緊張をほぐす目薬や飲み薬による治療が行われます。また、VDTの作業時用に眼鏡が処方することもあります。詳しくは主治医に相談してください。

(浦安新聞 平成21年4月10日号 医療Q&A掲載文より)

子供の目と病気

人の視力は生まれてからさまざまな経験を通して徐々に育っていきます。ものを見ることが何らかの原因で障害されると、視力の発達は抑えられ、止まってしまいます。これが弱視です。弱視になる原因として斜視(両目の視線がそろわないで片目だけでものをみる)、遠視(程度が強いと遠くも近くもはっきり見えない)、先天性白内障、眼帯の装用があげられます。3歳ぐらいまでに弱視が見つかれば、眼鏡装用や健眼遮蔽(良い視力の方の目を隠す)などで治る可能性も高くなります。片眼だけの弱視の場合、良い方の目でちゃんとものが見えているのでなかなか気づかないものです。他にものを見るとき目を細くする、横目使い、上目づかいをする、あごを上げる、首をかしげるなどの症状があれば眼科専門医に診てもらいましょう。

(浦安新聞 平成22年1月8日号 医療Q&A掲載文より)

その他

残念ながら通常の眼鏡は保険の対象にはなりません。それどころか医療費控除の対象でもありません。ただし9歳未満の子供が使用する眼鏡で「弱視、斜視、先天性白内障術後」等の治療に必要だと医師が判断し、医師の処方した眼鏡を購入した場合に、給付が認められれば7割が支給されます。(3歳未満は8割支給)但し、千葉県では、5歳未満の小児の治療用眼鏡は、先回の申請から1年以上経過、5歳以上の小児の場合、先回の申請から2年以上経過している場合が支給の対象になります。

申請にあたっては、
a.療養費支給申請書
b.領収書(眼鏡店のもの)
c.医師による証明書
d.口座番号と印鑑
が必要です。

なお通常の眼鏡でも治療目的の場合、保険適用はありませんが、医療費控除の対象になる場合があります。詳しくは主治医に相談してください。

(浦安新聞 平成21年3月13日号より)

紫外線の目への影響はあまり意識されていません。紫外線の影響で起きる目の病気は、急性と慢性に分けられます。炎天下のクラブ活動でも目が真っ赤に充血することがありますが、これも急性の結膜症状です。スキーや海水浴など一度に大量の紫外線を浴びると黒目(角膜)の表面が損傷し、眠れない程の激しい痛みが生じます。慢性的な紫外線の影響では「翼状片」や白内障が生じます。「翼状片」は、白目の組織が異常に増殖し黒目に食い込んでしまう病気で、瞳孔の近くまで白目が侵入すると視力障害をきたします。加齢とともに進行する白内障の内「皮質白内障」も紫外線が濁りの原因となるたんぱくの凝集に関係しています。紫外線を遮断する適切な眼鏡やサングラスの装用で予防を心がけましょう。

(浦安新聞 平成23年8月5日号より)

通常の近視や遠視、乱視、老眼のための眼鏡は医療費控除の対象にはなりません。ただし医師が治療に必要と認めた眼鏡で、保険給付を受けなかった場合には、医療費控除の対象になることがあります。厚労省が指定している対象疾患は、「弱視・斜視・白内障(術後)・緑内障・調節以上・不等像性眼精疲労・変性近視・網膜色素変性症・視神経炎・網膜脈絡膜炎・角膜炎・角膜外傷・虹彩炎」です。

医療費控除の申請は、「疾患名」と「治療を要する症状」が記載された医師による眼鏡処方箋(の写し)および、眼鏡を購入した際の領収書(レシートは不可)が必要です。なお弱視治療に必要なアイパッチなども医療費控除の対象となります。
詳しくは主治医に相談してください。

(浦安新聞 医療Q&A 平成21年12月11日号)

浦安市内の汚染レベルは高いものではありませんが、高濃度の放射能が目に入った可能性がある場合は、生理食塩水または水道水で、眼が傷つかないようにやさしく洗浄してください。その際、目頭を押さえて、鼻涙管から汚染水が鼻の中に入らないように注意します。まぶたに関しては皮膚への汚染と同様に扱ってください。中性洗剤と濡れガーゼでやさしく拭き取り、水で洗浄。あまり強くこすると皮膚のバリアが破壊され、むしろ皮膚内部に入り込む可能性があります。ハードコンタクトレンズをすすぐ際の水ですが、摂取可能な300ベクレル/L以下であれば、そのまま使用していただいても、健康に影響を及ぼす可能性はきわめて低いと考えます。もし心配であれば、装用直前のすすぎを水道水ではなく、ミネラルウォーターですすいでください。

(浦安新聞 医療Q&A 平成23年7月9日号)