結膜の病気

急に目が充血して、まぶたも腫れて目ヤニも出る

症状から「はやり目」の可能性も高いと思われます。はやり目は正式には流行性角結膜炎といい、アデノウイルス(8、4、37、19型)感染でおこる急性結膜炎の1種です。感染してから1~2週間で発症し、激しいまぶたのはれ、目ヤニ、流涙、充血などの症状が10日から15日間続きます。また目の症状に先んじて風邪様症状があったり、耳の前のリンパ腺が腫れたりします。はやり目に対して直接有効な治療薬はありませんが、混合感染を予防したり、炎症を押さえたりするため抗菌剤やステロイドを点眼することが大切です。感染力が強いので点眼する時以外は目の回りに手を触れない、手洗いを励行する、触った日用品は出来るだけ煮沸消毒し、日光でよく乾燥させる、使用する物品(ハンカチ、タオル、本、鉛筆、茶碗、箸等)は家族と別にする、学校や職場は一定期間休むようにするなど他の人への感染に気をつける必要があります。

発熱とのどの痛み、両目も赤く充血

症状からプール熱の可能性が高いと思われます。プール熱は正式には咽頭結膜熱といい、アデノウィルス(4、3型)感染でおこる急性結膜炎の1種です。感染してから5~7日で発症し、まぶたのはれ、目ヤニ、流涙、充血などの症状が10日から15日間続きます。以前に紹介した流行性角結膜炎(はやり目)に比べ、眼の症状は軽度であることが多く、発熱や、咽頭炎などの全身症状が強くあらわれます。はやり目と同様、直接有効な治療薬はありませんが、症状に応じて混合感染を予防したり、炎症を押さえるための点眼薬を眼科医より処方してもらうことが大切です。また眼帯をすると、小学校低学年では弱視になる可能性もあるので、すぐにはずしてください。感染力が強いので医師の許可があるまでは学校を休ませ、プールには入れないでください(少なくとも発病から2週間程度)。点眼する時以外は目の回りに手を触れない、手洗いを励行する、触った日用品は出来るだけ煮沸消毒し、日光でよく乾燥させる、使用する物品(ハンカチ、タオル、本、鉛筆、茶碗、箸等)は家族と別にするなど、感染予防のための留意点は、はやり目と同様です。

(浦安新聞 平成20年7月号 医療Q&A掲載分より一部改変)

眼が急にごろごろして痛くなってきました。

症状からまぶたの裏側の結膜に、カルシウムや脂肪が沈着して、白い結石(結膜結石)ができている可能性があります。結膜の下にあるうちは無症状のことも多く、摘出すると瘢痕になるためそのまま様子を見ます。結膜を破って表面にでてくると異物感や痛みを感じるようになるため摘出することになります。
もちろん眼に異物(植物の殻や、ゴミクズ)が入っている可能性も否定できません。
角膜や結膜の表面に異物が張り付くと、少し洗っただけでは外れない場合があり、無理に取ろうとすると傷が大きくなることがあるので、眼科でとってもらった方が安全です。角膜に傷がついた場合には、異物そのものが無くなっていても違和感や痛みはなくなりません。角膜や結膜の傷の対しては、感染防止のために抗菌剤を点眼する必要があります。

その他、眼瞼内反症,睫毛乱生症などが原因になっていることも多く、結膜炎でも異物感のあることがあります。症状がつづくようでしたら眼科受診を勧めます。

まぶたの病気

繰り返す目の縁のかゆみ

症状から眼瞼縁炎(目のふちのかぶれ)と思われます。夏は汗や、強い日ざしのためにまぶたの皮膚が刺激を受けやすくなっているため、他の季節より多くみられます。アレルギー体質が原因になっていることが多く,そこに外的な刺激や細菌感染が加わり発症するため、再発しやすく症状も個人差があります。かゆみの他に,まぶたのふちが赤くはれる,ただれる,カサカサするなどの症状が一般的です。また、細菌性結膜炎が合併すると目ヤニが多く出るようになり朝、目が開けられない程上下のまぶたがくっついてしてしまうこともあります。細菌によるものは,抗生物質の点眼や眼軟膏,アレルギー性のものは副腎皮質ホルモンの眼軟膏で治療しますが,刺激を避けることが大切でしょう。処方された薬は医師の指導にしたがい適切に使用することが大切です。ビタミンB2・B6の欠乏によって細菌感染を引き起こすこともあります。清潔に心がけ,肉、魚、卵、乳製品、野菜、果物などをバランスよく摂るようにしましょう。

瞼のしこり

症状から”ものもらい”ではなく「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」と思われます。
霰粒腫は、目に脂を分泌する瞼板腺が詰まり、慢性の炎症が起こる病気です。”ものもらい”と混同されますが、医学的にはまったく別の病気です。いわゆる”ものもらい”は麦粒腫(ばくりゅうしゅ)といい、まぶたの中のマイボーム腺に細菌(黄色ブドウ球菌が多い)が感染し、まぶたの一部が赤く腫れて痛む病気です。

霰粒腫は一般に痛くありませんが、細菌が感染して急性炎症を起こすこと(急性霰粒腫)、麦粒腫と同じく、まぶたが赤く腫れて、痛みを伴います。

急性炎症を起こしている場合は、抗生物質による薬物治療が必要です。
しこりは放っておいても問題ありませんが、しこりが大きいと、不快感だけでなく、外見上の問題もでてきます。このような場合は時期をみて、まぶたの裏から瞼板腺を切開して、たまった内容物を出す手術をします。
一度眼科に受診し相談してください。

瞼のはれと痛み

症状から麦粒種(モノモライ、関西ではメバチコ、メイボという地域もある)と思われます。細菌性結膜炎も合併しているようです。麦粒種はまつげのそばの脂腺や、まぶたの中のマイボーム腺に細菌(黄色ブドウ球菌が多い)が感染し、まぶたの一部が赤く腫れて痛む病気です。化膿した部分が破れて膿がでると痛みは治まります。汚れた手で目をこすり細菌が目に入ることで起こります。特殊な細菌が原因ではなく、はやり目のように人にうつる心配はありません。こすったり押したりすると周囲へ炎症が拡がるので触らないことが大切です。抗生物質を点眼したり、内服することで治療しますが、化膿がある程度進んだ場合は、切開して膿を出した方が早く治ります。予防には帰宅時の手洗いが大切です(できれば洗顔も)。麦粒種は一度できると度々くり返すことが多いものです。原因として不潔な生活環境や慢性の結膜炎、偏食による栄養障害、糖尿病などが考えられます。くり返す場合には、原因を確かめ根本的な治療を考えることが必要です。

涙の病気

涙がこぼれ、目のふちもただれる

流涙症(りゅうるいしょう)の症状です。涙は『涙腺』で作られ、眼球表面を潤した後『涙点』というところから排出されます。このとき一部の涙は眼球と瞼の隙間(結膜嚢)に貯留します。涙点に入った涙は『涙小管』という管を通り、『涙嚢』という袋を経て鼻腔へと流れていきます。

涙がたくさん出すぎても流出経路が障害されても流涙症がおこります。

  • 涙が出すぎる場合は、前眼部の炎症などが原因で適切な治療で治癒します。
  • 結膜がたるみ結膜嚢を塞いで涙が貯留できないために流涙症になっている場合(案外多い)、弛んだ結膜を切除し結膜嚢を再建すると症状が改善します。
  • 涙の流出経路が障害されている場合は、その障害を取り除く手術をおこないます。ところでこぼれる涙を拭き取る場合は、皮膚をできるだけ刺激しないようきれいなハンカチでおだやかに内上にむかって拭き取ってください。機械的刺激で生じた目のふちのただれは眼軟膏で治療します。

こぼれる涙で困っている方はぜひ、眼科を受診することをお勧めします。

白内障

光がまぶしく視力が徐々に低下

眼の中でレンズの役割を果たしている水晶体は、透明で光をよく通します。ところが、年齢とともに水晶体のたんぱく質が変性し、次第に白く濁ってきます。これによって、視力の低下などの症状が現れるのが「白内障」です。

明るい場所でまぶしく感じるのは白内障の代表的な症状です。
水晶体の濁りは、時間とともに少しずつ進行するため、視力は徐々に低下していきます。それによって、新聞が読みづらいなど、日常生活に支障を来すようになります。

白内障の治療は、まず進行を遅らせるために点眼薬を用います。それでも進行し、生活に不便を感じた場合には、必要に応じて眼内レンズを入れる手術が行われます。

ただしまぶしさや視力低下の原因には黄斑変性症や緑内障などといった網膜や視神経の病気を合併していることもあります。白内障だけが視力低下の原因とは限らないのです。
早いうちに眼科専門医に診てもらいましょう。

(浦安新聞 平成20年11月14日号 医療Q&A掲載分より)

緑内障

緑内障ってどんな病気?

緑内障はいくつかの病気の総称で、眼球の圧が高くなったり、血流が障害されることにより視神経が障害を受ける病気です。その特徴から、原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、原発閉塞隅角緑内障などに分類されています。たとえば原発閉塞隅角緑内障は、若いときから目が良く眼科に縁のなかった人に多いのですが、ほとんど前触れなく、急に目の痛みが襲ってくる急性発作を起こします。治療にはレーザー治療や手術などの緊急的な処置が必要です。また近視の人に多いといわれていまる原発開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障では自覚症状がほとんどなく、じわじわ視野欠損が進行します。徐々に視野が欠けてくるのですが、中心から離れたところから始まるため末期になるまで気づかないことが多いのです。治療は点眼薬が基本になります。
40歳以上の17人に1人は緑内障でありそのうち8割は未治療であるとされています。視神経は一度障害を受けると回復しません。早期発見、早期治療が大切です。

(浦安新聞 平成21年11月13日号 医療Q&A 改訂)

夕方から目の奥が重く頭痛があります。

症状から頭蓋内疾患、不適切な眼鏡など種々の原因が考えられますが、閉塞隅角緑内障も疑われます。閉塞隅角緑内障は若いとき目のよかった(遠くが良く見えた)中高年の方(女性が多い)によくみられる眼の病気です。

眼の中では房水という水(角膜や水晶体を栄養する)がつくられています。
閉塞隅角緑内障の場合、房水が眼の外に出ていく流出路が狭く眼圧が高くなるのです。読書や書き物といった顔を下向きにする姿勢をとったときや、瞳が大きく開くとき(暗室にいるとき、鎮静剤、胃薬等の内服したとき、興奮した時など)に特に流出路が狭くなるので注意が必要です。

眼圧の上昇に伴い、軽い頭痛、眼痛、充血、虹視(電球の周りに虹がみえる)を自覚することがあり、放置すると徐々に視野が欠けてきます。また時に急激な視力低下や目の痛みに加え吐き気、嘔吐、徐脈などを伴う急性発作を生じることがあります。
まず眼科を受診し検査を受けてください。閉塞隅角緑内障なら予防的なレーザー処置や点眼などの治療が必要となります。

40歳以上の20人に1人は緑内障でありその内80%以上は未治療であるとされています。視神経は一度障害を受けるとほとんど回復しません。
早期発見、早期治療が大切です。

目の奥の病気

急に糸クズや小さい虫のようなものが見える

飛蚊症の症状と思われます。
飛蚊症では明るい所や白い壁、青空などをみつめたとき、目の前に虫や糸クズなどの浮遊物が飛んで見え、視線と一緒に移動するように感じられます。

この浮遊物の正体は眼の中のゼリー状の物質である硝子体中の濁りです。濁りの原因は、生理的であまり心配のないものがほとんどです。歳をとると硝子体はゼリー状から液状に変化してきます。また体積も収縮し網膜から剥がれてきます(硝子体剥離)。この剥離した部分の一部が濁っているため飛蚊症の原因になるのです。近視の人は硝子体剥離が早い時期からおこることがあり、10代でも飛蚊症を経験することもあります。また胎児期の硝子体中の血管の名残りが原因となることもあります。生理的なものであっても濁りのある場所により、ものが見にくくなる場合もあります。このように飛蚊症は加齢や近視に伴う生理的なものであまり気にしなくていいものが多いのですが、まれに硝子体出血や網膜剥離、ぶどう膜炎のように放置すると失明につながる病気のサインである場合があります。飛蚊症にはじめて気付いたときや、見え方の様子が急にかわったときには、飛蚊症が生理的なものか、病的なものか必ず眼科で検査してください。早期発見、早期治療が大切です。

視野の中を光が走る

症状から「光視症」と思われます。
原因は「眼球にある場合」と「脳にある場合」があります。

眼球に原因がある場合の多くは加齢や近視にともなう生理的変化です。
眼球の中にある硝子体というゼリー状の物質が、年をとるにつれて縮み網膜から離れて、眼底から浮き上がってしまうことがあります(後部硝子体剥離)。これは蚊が飛んだように見える飛蚊症をおこす原因となりまが、さらにこの時硝子体と網膜に癒着があると、網膜が引っ張られ刺激を受けて光が走るように見えるのです。硝子体と網膜との癒着が取れてしまうと光が走らなくなります。光は目の外側(耳の方)で走ることが多く、消えるまでには6ヶ月ほどかかることが多いようです。後部硝子体剥離自体は異常な所見ではありませんが、稀にこの癒着が強く、硝子体が網膜を引っ張って網膜剥離の原因になることがありますから注意が必要です。

この他に、視野の一部に突然閃光が走って、電光のようにギザギザした光の波が四方に広がりその内部が真っ暗になり、その後偏頭痛や吐き気などが起こる閃輝暗点或いは眼性片頭痛という病気があります。これはものを見る脳の中枢部分へ行っている血管の一時的な痙攣によって、血液が不足して起こるのではないかといわれています。

以上のように光が走る原因にも色々ありますから、自覚症状があれば早いうちに眼科専門医に診てもらいましょう。

見ようとするところがみえません。

症状から加齢性黄斑変性症が疑われます。
外界から眼に入る光は角膜や水晶体で屈折し眼底にある網膜に結像します。網膜のなかで、ものを見る中心となる部分は”黄斑”と呼ばれています。

加齢性黄斑変性症はこの黄斑が加齢にともなう変化により障害されておこる病気で、年々増加の傾向にあります。
ものを見る中心となる部分が障害されるため見ようとするものの中心部が欠けて見えたり(中心暗点)、視力が低下したりします。また黄斑部の形状が変化するため、ものが歪んで見える(変視症)ことがあります。
50歳以上の男性に多く(女性の3倍)、光刺激、全身疾患(心血管疾患、高血圧)、喫煙、栄養状態遺伝などの関与が指摘されています。

治療は疾患の原因となっている新生血管をレーザーで焼き固めたり、止血作用のある薬や網膜の栄養剤を内服します。また適切な遮光眼鏡を処方することもあります。
早期治療で良好な視力が保たれる傾向があります。
視力低下が気になる場合はまず眼科を受診して精密検査を受けてください。

(浦安新聞 平成21年8月7日号 医療Q&A掲載分より)

全身病と目

一過性の視野狭窄

年令、症状から考えて、一過性黒内障と思われます。一過性黒内障は、一時的に脳細胞への血流が悪くなることにより、数分間から数時間程度の発作的な神経脱落症状を来す疾患である一過性脳虚血発作(TIA)の一種です。原因の多くは、頚部内頸動脈や頭蓋内の主要血管が細くなり、一時的に狭窄している血管が閉塞する場合や、狭窄した部位にできた微小血栓が頭蓋内の血管に詰まる場合など、かなり進行した頚部・脳血管の動脈硬化性変化が原因となっています。症状が一過性で、完全に回復するため、軽く考えられがちですが、近い将来大きな脳梗塞になる可能性が高い疾患です。医療機関に相談されることをお勧めします。

(浦安新聞 平成20年9月12日号 医療Q&A掲載分より)

コンタクトレンズ

コンタクトレンズでの近方視不良

近視でもし、CLを装用して、遠くがよく見えるようにすると正視の人と同様老視の症状が出てきます。眼のピントは、自律神経により自動的に合うのですが、眼のレンズ(水晶体)が硬化してくると通常の神経信号ではピントが合わなくなり老視の症状が現れます。そこでさらにピントを合わせようとすると全身的な不調の原因になります。

頭痛の症状もあるようですので、

  • CLの度数を弱くする。
  • 片眼のみ度数を弱くして近くを見えるようにする。
  • 遠近両用CLを試す。
  • CL装用上から必要時近用眼鏡を掛ける。

などの適切な対応が望まれます。

老視が始まる時期は緑内障などの目の病気も出てくる時期です。眼科専門医に相談してみましょう。

(浦安新聞 平成20年10月10日号 医療Q&A掲載分より)

40才をすぎ調節力が減少してくると、疲れているときなどに細かいものがぼやけて見づらくなります。また負荷が大きいと、前眼部や目の奥が痛くなることもあります。CLを使用している方の場合、明視域(ピントが合う距離)を改善するには次のような方法があります。まず第一は、現在使用しているCLの度数を現在の目に合わせ正しいものにすることです。それだけでは近くの見え方に不満が残るなら次に遠見度数を少し落とし近見視を助けます。それでもなお近くが見づらい場合、片眼だけ近くが見えるように度数を落とす方法を試すこともあります。さらに最近は機能が改善された多焦点CLもあります。どの方法にするのがいいのか眼科専門医で相談してみてください。

(浦安新聞 平成21年10月9日号 医療Q&Aより)

目の疲れ

眼精疲労(いわゆる疲れ目)の症状です。遠視、ドライアイ、結膜、角膜の病気、緑内障など”眼そのものに原因がある場合”だけでなく、自律神経やホルモン、代謝の異常、過労など、”全身症状が関係する場合”不安定な心の状態、悪い照明環境など”環境や心理的な要因が関係する場合”など多くの原因が考えられます。
眼からの原因としては「軽度の遠視」がまず疑われます。遠視は”遠くがよく見える”と思っている人が多くいますが、実は遠くも近くもがんばらないとピントが合いません。眼の負担が大きくなると眼の疲れだけでなく頭痛がしたり、全身の調子が悪くなったりします。このような場合には適切な眼鏡装用が必要です。
自覚症状があれば早いうちに眼科専門医に診てもらいましょう。

(浦安新聞 平成22年7月9日号 医療Q&Aより)

目が良く今まで眼鏡をかけてこなかった人にとって、老眼鏡は自らの”老い”を、周りの人達に知られてしまうみたいで、掛けるのを少しでも先に延ばしたいものです。しかし頭痛の症状もあるようですし、早く適切な眼鏡を装用した方がいいと思います。

老眼は老眼鏡を掛けたからすすむといったものではなく、調節力(遠近ピント合わせの力)の低下に伴もなっておこる生理的変化です。 40才を過ぎる頃から誰にでも(正視でも近視でも)起こります。調節力の低下にあわせ、眼鏡は何回か作り替えることになります。老視が始まる時期は緑内障などの目の病気も出てくる時期です。眼科専門医に相談してみましょう。

(浦安新聞 平成18年 医療Q&Aより)

ものを明視するときは、ピント調節力と両眼の視線(輻湊)は連動して変化します。つまり、遠くのものを見るときはピント調節を緩め、両視線を開散させます。近くのものを見る時はピント調節を強め、両視線を輻湊させます。3D映像は日常視と違い、実際の映像は一定の距離(眼から映画のスクリーン)にあるにもかかわらず両視線を輻湊させたり開散させたりして映像が遠くや近くに見えるように作られています。このような不自然な状態は誰にとっても疲れの原因になるのですが、両眼の視力に差がある場合や近視や遠視などが適切に補正されていない場合、両視線にずれがある場合にはより強く眼精疲労の症状が誘発される可能性があります。3D映画の疲れは他の原因もありますが、眼の状態について、一度眼科専門医受診をお勧めします。

(浦安新聞 平成22年8月6日号 医療Q&Aより)

子供の目と病気

ものをみるとき片目を閉じる

お子さんが斜視や弱視になっていないか調べる必要があります。片目を閉じるのは視力の悪い方の目がじゃまをしないようにしてためかもしれません。視力が発達するには、毎日ものを見ている必要があります。ものを見ることが何らかの原因で障害されると、視力の発達は抑えられ、止まってしまいます。これが弱視です。弱視になる原因として、斜視(両目の視線がそろわないで片目だけでものをみる)、遠視(程度が強いと遠くも近くもはっきり見えない)、先天白内障、眼帯の装用などがあげられます。

3歳ぐらいまでに弱視が見つかれば、眼鏡装用や健眼遮蔽(良い視力の方の目を隠す)などで治る可能性も高くなります。

片眼だけの弱視の場合、良い方の目でちゃんとものが見えているのでなかなか気づかないものです。ご家庭で、絵本を見せながらお子さんの目を片方づつ隠し、それぞれの目が見えているか、確認してみてください。どちらか片方の目の時だけ嫌がるようなら弱視の疑いがあります。他に、ものをみるとき目を細くする、横目使い、上目使いをする、あごを上げる、首をかしげるなどの症状があれば早いうちに眼科専門医に診てもらいましょう。

視線が外に外れる

症状から間欠性外斜視と思われます。疲れたときや、ぼーっと遠くを見ているときなどに片眼が外に外れます。
片眼を閉じるのは、両視線がそろわず見ているものが二つに見える(複視)を避けようとする行動です。外れているとき(斜視の状態)は、立体視がなく遠近感が低下しています。また斜視の状態が長く続けば、まれに外れている眼が弱視になる場合があります。症状がなければ治療は不要です。複視が気になる、容貌が気になる、頭痛や眼精疲労があるなどの症状があれば治療の対象となります。治療は、まず、近視、遠視、乱視などの補正をし、眼を寄せる輻輳トレーニングを行います。場合によりプリズム眼鏡を処方します。これらが有効でない場合、手術を検討します。

(浦安新聞 平成21年7月10日(金)号 医療Q&Aより)

黒眼が内側に寄ってみえる

両目の視線が目標に向かって揃わず、片方の目の視線が別の方向に向かっている状態で斜視が疑われます。斜視は小児の約2%に見られるといわれています。外見上の目の位置の異 常のほか、両眼視(両目で受け取った感覚を統合して得られる視覚)の異常や、はずれている目に弱視などを伴っていることがあります。また、乳幼児期には鼻根部(目と目の間)の発育が不良で、鼻側の白目が見えず、一見斜視に見えても斜視ではない「偽内斜視」の場合もあります。斜視は、「遠視、両眼視の異常、視力障害、目を動かす筋肉のまひ、腫瘍」など、さまざまな原因によって起こります。遠視が原因の内斜視では、まず眼鏡による屈折矯正を行い、これだけで眼位が完全に治ることもあります。それ以外の斜視の矯正には、手術が必要です。弱視を伴っている場合は、手術に先立ちアイパッチによる健眼遮閉などにより弱視の治療を行います。

斜視は背後に重大な病気が隠れていることもあるので、まず原因をはっきりさせることが重要です。

生まれた頃から右目に涙が多く最近目ヤニもひどい

症状から先天性鼻涙管閉塞による涙嚢炎と思われます。

生後3週間を過ぎた頃から,片方の目に目ヤニがたまり,涙が出るといった症状があらわれます。結膜炎と間違われることがありますが,目頭の下辺りにある”涙のう”部分を指で押すと膿が出てくるので鑑別できます。涙は目の表面を潤したあと、”涙点”から”涙小菅”を通って涙をためる”涙のう”に入った後、”鼻涙管”から鼻腔に排出されます。ところが鼻涙管の開口部は約1%の新生児でふさがったままになっているのです(先天鼻涙管閉塞)。この鼻涙管の閉塞は、多くが生後6ヶ月頃までに自然に開口するのですが、”涙のう”にたまった涙に細菌感染がおこると、膿が目のほうに逆流してひどい目ヤニになるのです。生後3か月を過ぎてもまだ目ヤニが続くようなら,プジー(表面の滑らかな柔らかい針金状の器具)を鼻涙管に通す処置をした方がいいでしょう。この処置により2、3日で治ることがほとんどです。

視力低下について

視力低下というと近視になっているのではと考えがちですが、小学校低学年では近視より遠視の場合が多いのです。学校では遠見視力の検査をして視力不良の児童に眼科検査を勧めますが、近見視力も不安定で不良の場合があります。塾に通い始めて勉強時間が長くなった、コンピューターゲームをする時間が長い、読書時の姿勢がよくないなど、ピント調節機能に負荷の掛かる生活のために視力が不安定になっているのです。
視力低下の原因をはっきりさせるために、点眼薬を用いた屈折検査や、ピントの遠近切換えのスムーズさなどを調べる調節検査も必要です。調節緊張の場合は目薬や、視力訓練などで治療します。また遠視で視力が低下している場合、放置すると学習に支障がでることもあるので要注意です。

(浦安新聞 平成22年5月14日号 医療Q&A掲載分より)

視力回復トレーニングについて

視力低下の原因は近視とはかぎりません。遠視や乱視の場合もあります。まず視力低下の原因がどこにあるか眼科で調べることが大切です。近視化に調節緊張が関与している場合は目薬や、調節トレーニングなども有効です。視力回復トレーニングは調節緊張(仮性近視)には有効ですが、高額な費用を請求される場合も多く、さらに視力回復の見込みのない軸性近視でも入会を勧める業者もあるので注意してください。調節緊張の多くは「コンピューターゲームは1日30分以内にする」。「本と眼の距離を30cmから40cmにする。」「寝ころんで本を読まない」等を守るだけでも視力が改善することがあるのです。当院では、日常の生活の諸注意点について指導させていただいています。

(浦安新聞 平成21年6月12日号 医療Q&A掲載分より)

学習と視覚認知機能

文字を覚えることが苦手

見たものを読んだり書いたりすることは、日常ごく自然に行っていますが、複雑な視覚系が適切に働いてはじめて可能にしています。
私達が見たものを正しく理解するには、まず見ているものを正しく眼に入力しなければなりません。上手に眼が動かせなかったり、両目の視線が揃わなかったり、近視、遠視、乱視の為に像がぼやけていたら正しくものを見ることはできません。学校での視力検査は5メートル離れた遠くのものが見えるか(遠見視力)確認していますが、これに問題がなくても近くが見えているとは限りません。遠視性乱視では遠くが見えていても近くのものが見づらいことがあります。また本を読むときに行飛ばしや、反復をしてしまう可能性があります。眼科で遠見視力以外の視機能をしっかり検査してもらいましょう。さらに視機能に問題がなくても視覚情報処理に問題があればものは正しく認識されません。視覚認知発達機能に問題がないか、どこに問題があるかの検査を紹介しています。かわばた眼科では、眼科での視機能の精密検査に加え視覚認知発達検査を紹介しています。